債務整理をすると借金を減らせるのか

1. 債務整理とは

債務整理とは、弁護士が代理人となって、貸金業者等と交渉を行い返済総額や毎月の返済額の減額をしたり、裁判所の決定により返済を免除してもらうというものです。

債務整理には、 「任意整理」、「個人再生」、 「自己破産」という3つの方法があります。

今回は、この3つの方法の説明とこれにより返済総額や毎月の返済額にどのような影響があるのかを説明します。

任意整理とは、弁護士が代理人となって貸金業者と主に毎月の返済額の減額交渉を行い、相談者の毎月の返済の負担を軽減するというものです。

貸金業者との交渉によりますが、任意整理を行うと、毎月の返済額を減額することができます。

個人再生とは、個人の債務者の返済総額を減額し、減額された借金を再生計画に従い分割して返済していくというものです。

個人再生には、小規模個人再生手続と給与所得者等再生手続の2つがあります。

小規模個人再生手続とは、①借金総額が住宅ローンを除いて5000万円以下で、②個人事業主などの比較的安定した収入が反復継続的に得られる見込みある場合に利用できる手続です。

この手続を利用すると、次のように借金の総返済額を減額することができます。

ただし、自己破産した場合に債権者に分配される金額が上回っている場合、その金額が返済額となります。

また、再生計画案に同意しない債権者が全債権者の半数未満であり、債権額が債権総額の2分の1以下である必要があります。

給与所得者等再生手続とは、サラリーマン等の給与所得者が上記の小規模個人再生手続の要件に加え、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、かつその額の変動の幅が小さいと見込まれる場合に利用できる手続です。

この手続を利用した場合、小規模個人再生手続の条件に加え、可処分所得（自分の収入の合計額から税金や生活費用として必要と認められた政令で定められた費用を控除した残額）の 2 年分の金額のうちで高い方の金額以上を返済することになります。

また、この手続は、小規模個人再生手続と違い、債権者の同意は不要です。

自己破産は、裁判所に免責許可決定がなされることにより、借金がゼロになる手続です。

裁判所の決定により強制的に借金がゼロとなるため、同手続にはいくつかのデメリットがあります。

具体的には、99万円を超える財産は原則処分され、手続が終わるまでは警備員等の一定の職業につくことができなくなります。

また、信用情報機関に登録され、数年間は新たな借り入れをすることができなくなります。

借金の原因が、ギャンブル等の浪費である場合、免責許可決定がなされないと相談される方もいらっしゃいますが、浪費であることを考慮して、破産申立ての手続を適切に行えば、多くの場合、免責許可を獲得することができます。