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給与差押を停止するには、差し押さえを行っている裁判所での手続きが必要です。
給与が差し押さえられて、「債務の支払いが滞った」「生活費が不足した」ということで、法律事務所に相談されるケースは多々あります。
その中で、「個人再生」の場合は、弁護士から債権者に受任を通知しても、個人再生手続きが開始しても、だからといって自動的に給与差押が中止されるわけではありません。
給与差押中の小規模個人再生について、
について説明したいと思います。
小規模個人再生手続きは、大まかにいうと、
①申立→②開始決定→③再生計画案提出→④認可決定及びその確定
の流れで進みます。
給与が差し押さえられている、いないに関わらず、必要な書類を用意して申立準備をすることには違いはありません。
ただ、給与差押は、
で、取立てられるかどうかが決まります。
「小規模個人再生手続きの開始決定」が出たら、速やかに「中止申立」をしなければなりません。
そこで、「強制執行停止上申書」をあらかじめ準備します。再生を申し立てる際、申立書に添付する「上申書」に給与差押がされている旨を記載し、できるだけ早く「開始決定」を出すように求めることが必要です。
「個人再生開始決定」が出たら、その「開始決定書の写し」と「強制執行手続停止上申書」という書面を、給与差押をしている地方裁判所の民事部執行係(以下、「執行裁判所」と言います。)に提出し、給与差押を停止するように求めます。
(1)の上申書を受けて、執行裁判所は、差押えの手続きの中止を決定します。
中止決定の通知書は、差押えをしている債権者と、第三債務者(会社など給与を支払っている者)の双方に裁判所から送られます。
その通知書には、
債権者は、再生手続が廃止になるまで、差押債権について取り立てをすることができません。
第三債務者は、再生手続が廃止になるまで、差押債権について債権者に対して支払うことができません。
と記載されています。
したがって、この通知書で給与差押が中止(一時停止)することになります。債権者は取り立てをできず、第三債務者も債権者に支払いができなくなる、ということです。
(1)の上申書を受けて、執行裁判所は、差押えの手続きの中止を決定します。
中止決定の通知書は、差押えをしている債権者と、第三債務者(会社など給与を支払っている者)の双方に裁判所から送られます。
その通知書には、
債権者は、再生手続が廃止になるまで、差押債権について取り立てをすることができません。
第三債務者は、再生手続が廃止になるまで、差押債権について債権者に対して支払うことができません。
と記載されています。
したがって、この通知書で給与差押が中止(一時停止)することになります。債権者は取り立てをできず、第三債務者も債権者に支払いができなくなる、ということです。
給与の差し押さえ手続きが中止しても、支払われる給与は、差押えされていた時の金額のままです。債務者に給与満額が支給されることにはなりません。
これは、中止決定によって、強制執行が一時停止になっただけで、執行裁判所が出した差押命令の効力は失われていないためです。
つまり、中止決定が出たら、個人再生手続きが廃止になるまで、第三債務者(会社など給与を支払う者)は、毎月債務者の給与の一部を差し押さえ、債権者に渡すことなく内部で保管しておかなければならないのです。
ただし、個人再生の裁判所に、「強制執行取消命令」の申立てを行い、認められた場合には、手続きの途中でも支払いを受けることができます。
もっとも、「強制執行取消命令」は、
場合であることを要件としており、認められることは非常に難しいです。
小規模個人再生手続きでは、再生計画は、履行の可能性がなければなりません。
名古屋地方裁判所では、履行の可能性に関する報告書を裁判所に提出しています。
この報告書の中で、収入、支出の見込み月額や弁済原資の積み立て状況を裁判所に説明します。
「強制執行中止決定」が出て、給与が第三債務者に保管されている場合、手取りでは、弁済原資の積み立てが厳しいケースがほとんどです。
ただ、「強制執行中止決定」が出て第三債務者が給与の一部を保管していること説明することにより、履行の可能性がある方向に働きますので、忘れずに説明してください。
個人再生手続きが進み、「再生計画認可決定」が確定したら、執行裁判所に、書面を提出します。
執行裁判所は、この書面を受けて、差押え命令を取り消すことを決定します。
この決定が出れば、第三債務者から、保管していた給与の差額全額を支払ってもらうことができます。
事務所外観
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