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個人再生手続は、民事再生法という法律に規定があります。
民事再生法は、その名の通り民事再生という手続について定めた法律ですが、民事再生手続とは、債権者の多数の同意を得て、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、権利関係を適切に調整し、債務者の事業・経済生活の再生を図る制度です(民事再生法1条)。
最近では、大手のパチンコ店を運営している企業が申立てをしたことでニュースになるなど、企業が利用するイメージが大きいかと思いますが、個人でも利用することができます。
しかし、実際は、裁判所に納める予納金の負担が大きいこと等が理由で、いわゆる一般の会社勤めの人や、個人事業主が利用することはほとんどありません。
そこで、それ程債務総額の大きくない個人でも利用しやすい再生手続として、民事再生法に個人再生手続が定められています。
なお、個人再生手続には、小規模個人再生と、給与所得者等再生という2種類の手続があります。
給与所得者等再生は、債権者が同意しない場合に手続を進められない問題が生じないという利点がある一方、弁済額が、後に述べる最低弁済額・清算価値保障原則に加えて、可処分所得による基準についても満たす必要が出てきますが、本稿では詳述しません。
個人再生は、債務のうち一定額の免除を受けた上で、その債務を原則として36回の分割払いによって弁済することで、債務を整理するという手続です。
弁済する金額については、債務総額が500万円から1500万円未満の場合には5分の1になる等、債務総額による基準(最低弁済額)がありますが、この基準とは別に満たしていなければならない基準があります。
それが、清算価値保障原則と呼ばれるものです。
個人再生手続においては、「再生債権者の一般の利益に反する」再生計画は認められないものとされており(民事再生法230条2項、231条1項、174条2項4号、241条2項)、破産手続によって債権者が得られる弁済額以上の弁済を定めた再生計画でない限り、再生債権者の一般の利益に反するものと考えられています。
すなわち、個人再生においては、少なくとも破産手続によって債務を整理した場合に債権者に弁済できる金額(清算価値)に相当する金額を上回る金額を弁済する再生計画でなければ、認可されません。
これを、清算価値保障原則といいます。
以下では、いくつかの財産について、清算価値の算定方法について述べます。
なお、清算価値の算定を含め、個別の運用については、各裁判所がそれぞれの地域や裁判所の実情に基づいて基準を定めています。そのため、各裁判所によって評価や算定の方法が異なり得ることに注意が必要です。また、以下に記載以外の財産についても清算価値に計上されます。
現金及び預金は、原則として、99万円を超える部分が清算価値として計上されます。
これは、破産手続においては、99万円までの現預金については、破産者の自由財産として手元に残すことができるためです(破産法34条3項1号)。
原則として解約返戻金の額が清算価値になりますが、契約者貸付けがある場合には、貸付額を控除した金額になります。
破産手続においては、退職金の価値は見込額の8分の1や、退職することが確実な場合等は見込額の4分の1とされることが多いため、退職金見込額の8分の1ないし4分の1が清算価値として計上されます。
破産手続においては、原則として破産管財人が自宅を売却しますが、売却による利益が出る場合には、債権者への配当原資になります。
そのため、個人再生手続においては、不動産の時価から抵当権が設定されている被担保債権(住宅ローン等)の残額を控除したものが清算価値となります。
不動産の時価については、不動産業者による査定の価格を基準に判断することが多いと思われますが、名古屋地方裁判所においては、場合によっては、固定資産税評価額を参考に算定することも可能な運用になっています。
破産手続や通常の民事再生手続においては、債務者が債権者を害するような行為(例えば、受任通知を送付し、支払いを停止した後に知人にのみ返済する行為や、財産を無償あるいは著しく低い金額で売却する行為等)について、債権者の利益のため、当該行為により減少した財産を取り戻す制度(否認制度)が用意されています。
個人再生手続には、否認の制度は用意されていませんが(民事再生法238条、245条)、破産の場合には否認制度により取り戻しが可能なわけですから、否認対象行為を放っておくと、清算価値保障原則との関係で抵触が生じます。
そのため、個人再生手続においては、否認制度によって財産を取り戻すのではなく、否認対象行為によって減少した財産を、清算価値に上乗せすることで破産手続とのバランスが図られています。
参考として、東京高等裁判所平成22年10月22日決定は、個人再生手続開始決定直前に共済を解約し、解約返戻金の一部を債権者への弁済に充てた事例において、申立人が弁済額に相当する金額を清算価値として上乗せしなかったとして再生手続を廃止した原決定の判断を相当と判断しました。
個人再生手続においては、少なくとも3年間は継続して支払いをすることになるため、弁済を継続できるかどうかが重要になります。
そして、弁済の金額は弁済を継続できるかに大きく影響しますので、個人再生手続を選択するかどうかを決定するに際しては、清算価値について見通しを付けておく必要があります。
個人再生手続を検討されている方は、是非一度ご相談ください。
事務所外観
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